序盤の考え方 — 定跡データベースが無い前提で組む
ふつうのチェスソフトは、序盤を定跡データベースから引きます。この作品のファイル一覧には、その手のデータが見当たりません。序盤も AI が 1 手ずつ読む前提で組み立てます。
01定跡が無いと何が変わるか
定跡があれば、AI は最初の数手を一瞬で指し、時間を使いません。定跡が無ければ、1 手目から 1,000ms の探索が入ります。つまり、序盤でも相手は「1 秒ぶんの読み」しかしていません。
これは人間側にとって有利でも不利でもなく、単に「序盤から本気で読ませられる」という条件です。定跡を暗記していても、その知識がそのまま得点になるわけではありません。逆に、定跡から外れた形に持ち込めば、相手の 1 秒では精度が落ちます(推測)。
02初手で意識すること
序盤の目的は、駒を働く場所に置くことと、キングの安全を確保することです。この 2 つは評価関数の点数にはなりませんが、終盤で駒を取られるかどうかに効いてきます。
中央のポーンを 1 つか 2 つ進め、ナイトとビショップを展開し、キングをキャスリングで安全にする。この 3 つを 10 手以内に済ませる、という普通の指し方で問題ありません。評価関数が駒の合計しか見ない以上、序盤で無理に陣形を崩す理由はありません。
注意点は、ポーンを動かしすぎないことです。ポーンは戻れないので、動かした分だけ弱いマスが増えます。序盤でポーンを 4 つ以上動かすと、終盤で駒を取られる入口になります。
03避けたい形
- クイーンを早く動かしすぎる。相手のナイトやビショップに追われて、手数だけ損します。
- キングを中央に残したまま駒の交換を始める。終盤で王手の連続を食らいます。
- ポーンを 5 つ以上、序盤で動かす。戻せない駒を前に出しすぎると、終盤で穴になります。
- 同じ駒を何度も往復させる。1 手 90 秒の制限があるので、無駄手は時間の浪費になります。
04練習の順番
最初はアマチュア(Skill 0・深さ 1)で、10 手指すごとに「駒を損していないか」だけを確認します。深さ 1 の相手は二手先を見ないので、こちらの駒の置き方の癖がそのまま勝敗に出ます。
慣れたらプロ(Skill 3・1 秒)に上げます。ここからは、こちらの二手先の狙いが通らなくなります。捨て駒は取り返せる形のときだけ、という原則を守ってください。
マスター(Skill 6・1 秒)は、序盤の良し悪しより、中盤で 1 個多く駒を取れるかで決まります。序盤の定跡を覚えるより、駒の交換の計算を練習したほうが近道です。